ニコンFM・モルトプレーン交換顛末記

Contents

Posted at: 2017-01-21 20:54; Category: 写真・カメラ

 昨年末、実家に帰省した際に父親から「ニコンFM」(約40年前のフィルムカメラ!)を譲ってもらいました。シャッターや露出計は正常動作するのですが、保管ボックスの中に何十年も放置されていたのでモルトプレーンが加水分解でボロボロ。マウント内に屑が落ちている状態で、このままではテスト撮影すらできないので貼り換えることにしました。ちなみに貰ったニコンFMは初期型です。後期型はスクリーンユニットがマウント側から外せるので分解不要らしい。

 修理を頼むと高額になりそうだったため(中古市場価格より高い…)、破壊覚悟で自力交換にチャレンジしてみました。手順を写真付きで集約しておきます。

参考文献(サイト)

 貴重な情報有難うございました! 兄弟機のFEの情報も途中までは参考になります(カバー外すと全然構造違うけどね)。

 今回はメカニックを触っていないのでネット情報だけで足りましたが、本格的に修理したい方は下記書籍が参考になるかもしれません。中身見たかったのにリアル書店に在庫がなかったんだよね…。

やってみよう!カメラの修理&メンテナンス

やってみよう!カメラの修理&メンテナンス

  • 単行本
  • 大関 通夫
  • ジャパンホビーツール
  •  (定価)
  • ¥ 3,780 (Amazon価格)
  • 0 (私のおすすめ度)
  • 0 (Amazonおすすめ度)
  • 在庫あり。
    (価格・在庫状況は5月26日 4:53現在)

必要な工具等(クリーニング用品含む)

  • 精密ドライバー(#00, #0のプラスドライバー)
  • カニ目レンチ(先端が尖ったもの)
  • スナップリングプライヤー(今回はコーンプライヤーで代用)
  • ピンセット(先端が細いもの)
  • 半田ごて(今回は用意できず…orz)
  • 毛糸針(先が丸めてある大きい針;千枚通しでも可)
  • 燃料用アルコール(無水アルコール可;除光液は厳禁)
  • 綿棒(先が丸い物もあった方がいいかも)
  • ティッシュ(小さくちぎって丸め、アルコールを含ませて使用)
  • ブロアー(エアーダスター併用)
  • 貼替え用モルトプレーン(1.5mmと2mm;劣化しないフェルト等の方がベター)
  • ペンライト(今回はiPhoneで代用)

 工具としてはカニ目レンチだけが新しい購入品です(下の写真参照)。いずれ半田ごては買う予定。モルトプレーンはポリウレタン製で結局また数年後にボロボロになりかねないので、フェルトや毛糸などの劣化しない材質の方がお薦めです。

参考:カニ目レンチ(Amazonで900円)

巻上げレバー1:革を剥がす(難易度:★☆☆☆☆)

 両面テープで貼りついてるので破らぬよう剥がす(普通にやれば破れることはない)。貼り直す際は新しいテープを用意した方がいいかも。写真は剥がした後のものです。カニ目ネジ開けるのに失敗して傷だらけ…orz

巻き上げレバー1:革を剥がす

巻上げレバー2:カニ目ネジを外す(★★☆☆☆)

 このネジに限らず今回出てくるネジは全て反時計回りで外れます。ちゃんとカニ目レンチを使う方が幸せになれる。私は最初ピンセットでやろうとしてネジ穴を痛め、慌ててAmazonに発注しました(死)。そのカニ目レンチも滑ってネジ傷つけたし…(上の写真でネジが傷ついてるのはそれ)。ネジが緩ければ、滑らないよう上からゴムを押し付けて回せば外せるらしい。

巻上げレバー3:掛かっているバネを外す(★☆☆☆☆)

 ノブの小さい穴からバネの端が掛かっているのが見える筈(写真の赤い矢印の先)。

巻上げレバー3:バネが掛かっている

 時計回りに回すと外れるのでノブを持ち上げ気味に外す。このバネはもう一端が本体に引っ掛けてあります。外すと戻すのがちょっと面倒。一応説明しておくと、バネは途中で少し曲げてある方が上面です。レバーの位置は覚えなくても大丈夫(組み戻す時に回してみれば感覚で分かる)。巻上げレバーはこれで完了。

巻上げレバー3:ここまで外れる

巻戻しノブ1:裏蓋を開けてシャフトを押さえつつ、巻戻しノブを回して外す(★★☆☆☆)

 フィルムが入ってる場合は巻き戻して取り出しておきます(当たり前)。シャフトの固定ですが、私は溝に六角レンチを差し込んで押さえました(ドライバー等、堅くて溝に入れば何でもいい)。ノブの矢印と逆方向に回すと外れます。

巻き戻しノブ1:シャフトを押さえる

 ノブの中にはスプリング等、3つの小さな部品が入っています。外れた瞬間に中身が飛ぶおそれがあるので慎重に! パーツは写真左のノブ、板バネ、ワッシャー(凸の方が下)、板バネ、そしてコイルスプリングの順で上→下に重なってます(写真は全部下に来る方が表になってます;組み戻し方は後述)。トップカバー上のパーツが外れるとシャフトも抜けます。

巻き戻しノブ1:部品

巻戻しノブ2:スナップリングと目隠し盤を外す(★★★★☆)

 開腹作業ハイライトその1(笑)。中心部の押さえの下に、アルファベットの「C」のような形をした金属のリングが入っています。切れ目の溝にプライヤーの先端をかけ、開きながら持ち上げると外れます(勢いで飛ばさないよう注意)。私はビーズ細工用のコーンプライヤーを使いましたが、専用工具(スナップリングプライヤー)を買った方がいいと思います…。なかなかうまくいかないので傷だらけになるし、押さえが破損することもあるそうな。

巻戻しノブ2:スナップリングを外す

 リングを外すと下の目隠し盤(黒い円盤)も外れます。

巻戻しノブ2:スナップリングが外れたところ

巻戻しノブ3:バネ2個を外す(★★☆☆☆)

 1本はコイル、もう1本は一巻きのみのバネです。突起に掛かっているところを持ち上げれば簡単に外れます。

巻戻しノブ3:バネ2個

 飛んでいかないよう要注意(こればっかりだな…)。既に傷だらけで申し訳ない。

巻戻しノブ4:外周パーツを外す(☆☆☆☆☆)

 スプリングを外してしまえば持ち上げるだけ。下に白いワッシャーがあるのでこちらも回収しておきます。巻戻しノブはこれで完了。

巻戻しノブ4:バラし完了

シャッター速度ダイヤル:側面のネジ3個を外してカバーを外す(★☆☆☆☆)

 側面のカバーだけ上に引き抜く。決してダイヤル中心のカニ目ネジを外してはいけない…らしい。側面のネジ3つはごくごく小さいので紛失注意。ダイヤルの位置は覚えずとも大丈夫。

シャッター速度ダイヤル:ネジは3個 シャッター速度ダイヤル:側面だけ外れる シャッター速度ダイヤル:ネジはとても小さい

トップカバー:側面のネジ5個を外してカバーを外す(★☆☆☆☆)

 ネジを外せばトップカバーが外れます(写真は左側側面から見たところ)。中の配線が切れないよう慎重に持ち上げること。

トップカバー:エプロン左のネジ

 ちなみにマウント部横から黒いプラスチックの部品(カバーの一部)が落ちてくるので注意(左右とも)。

シャッター速度ダイヤル:ここが外れるので注意 シャッター速度ダイヤル:外れた後

 ホットシューに繋がる線(緑の被覆)は半田ごてで外しておくと後が楽ですが、持ってないので今回は付けたまま作業しました。とんでもなく邪魔なので大人しく外した方がいいです…。

スクリーン1:バネを外し金属カバーを取り去る(★★★★☆)

 多分そんなに難しい工程じゃないんですが個人的ハイライトその2(泣)。バネが固くて思いっ切り変形させてしまった…。外すのが難しいということは、まあ戻すのも難しいってことで。ちなみに下の写真、諸事情により裏蓋を外しています。裏蓋の外し方は蝶番部分を見ればすぐ分かると思いますので省略。

このバネを外す 変形させてしまいました…

スクリーン2:接眼モールド側の左右のネジ2個(と、はんだ)を外す(★★☆☆☆)

 配線に注意して作業すること。あとネジの下にワッシャーが入っているので、内部に落下させないようこれまた注意(各ワッシャーはちゃんと元の位置に対応させて戻す方がいいかも)。これで接眼モールドが外れるので横に避けておく。はんだごてがあるなら右の白い線のはんだも外す方が後が楽。接眼モールド下にモルトプレーンがあるので、ボロボロ崩れてくる場合はなるべく片付けておいた方がいいです。

スクリーン2:接眼モールド側のネジ

スクリーン3:プラカバーを外し、ペンタプリズムを持ち上げて外す(★★☆☆☆)

 外すだけなら持ち上げるだけですが…汚さないこと! 傷つけないこと! 側面の黒い部分のみ触るよう注意。傷ついたらシャレにならないので作業場と離れた場所に一時退避させておく。ちなみにこのペンタプリズム、シリアルナンバーのようなものが書かれていました。

スクリーン3:ペンタプリズム スクリーン3:ペンタプリズムに数字

スクリーン4:スクリーンユニットの残り2本のネジを外す(★★☆☆☆)

 カメラの前方(マウント側)にあるネジを外します。

スクリーン4:マウント側のネジ

 ここもワッシャーがあるので落下させないよう注意。

スクリーン4:ワッシャーを写してみた

 私のFMは何故かここのネジが異様に固く手で回しても全然動かないため、精密ドライバをペンチで挟んで回す羽目になりました。場所的に手が滑るとスクリーンを傷つける恐れがあるので無茶しないように。

スクリーン5:左側基板の端にあるネジを外し、露出計インジケーターをファインダーから引き抜く(★★★☆☆)

 ネジを外すと基板が動かせます。

スクリーン5:基板上のネジ

 基板に露出計インジケーター(ファインダーを覗くと「+〇-」と見える部分)がくっついているので、基板ごとファインダーから引き抜きます。インジケーターの印刷がこすれて傷つかないよう慎重に。 スクリーン5:基板を引き抜く

スクリーン6:絞り値窓のネジ2個を外す(★★☆☆☆)

 実は予めレンズマウントとエプロンを外しておけばこの作業は不要。絞り値窓がエプロンに引っかかってスクリーンユニットを外せず(死)急遽分解する羽目になりました(写真は片方のネジを外した後)。スクリーンと絞り値窓の他、もう1つ小さいパーツが重なっているので注意(下から小さいパーツ、スクリーン枠、絞り値窓の順)。そのままだと精密ドライバーがエプロンにぶつかるので、作業中はスクリーンユニットを少しずらす必要があります。ネジを外したら絞り値窓と小さい金具を避けておくこと。 スクリーン6:絞り値窓をスクリーンユニットから外す

スクリーン7:スクリーンユニットを外す(★★★★☆)

 ここまでやってようやく、スクリーンユニットを引き抜けます。右側にシャッター速度インジケーター(さっき外した露出計インジケーターの反対側)が挟まっているので左にずらしつつ外します…が、簡単には外れません。私はここで思いっ切り印刷に傷を入れてしまいました…。

スクリーン7:スクリーンユニット スクリーン7:スクリーンユニットを外した後

清掃&モルトプレーン貼り替え(★★★☆☆)

 ここまでやればミラーの根元にアクセスできると思ってたら、何とモルトプレーンは更に枠の裏側でした(写真赤矢印の裏)。ちなみに緑色の汚いところが接眼モールド下のモルトプレーンの痕です…。

ミラー根元のモルトプレーンはアクセス不可

 ショックだけど自分の腕じゃこれ以上開けられないので本命の作業に入ります。まずは光学系のパーツの拭き上げ。まあヘタなことすると却って汚くなるんですが(死)。特にスクリーンは擦りガラスで、アルコールの縁が残りやすいので要注意。スクリーン全面を覆うようにたっぷりアルコールを載せ、エアーダスターで一気に乾かすと比較的まともです。

 内部のモルトプレーンは、接眼ユニットの下、ミラー根元(※マウントからも見える)、そしてペンタプリズムの金属カバーの先端にあります(写真参照)。

ペンタプリズム金属カバーのモルトプレーン

 ミラーの根元はレンズマウント側からの方がまだアクセスしやすいかも…(下の写真の赤楕円の辺りにあった)。まあスクリーン外さなければ除去も出来なかったでしょうから、作業自体は無駄ではなかったと思っておこう。

ミラー奥のモルトプレーンのあった場所

 幸い「ベタベタ」ではなく「ボロボロ」だったので突いて崩しエアーダスターで吹き飛ばしておきました(※風量には注意)。ミラー根元のモルトプレーンは結局貼り直せず、何か不都合が発生しないか心配です。レンズマウントからスクリーンにゴミが入りそう。

組み直し(★★★☆☆)

 清掃が終わったら逆に辿って組み直し。案の定、スナップリングの嵌め戻しが最大の難関でした…。各パーツの順番や位置は上記の分解写真を御覧いただければ大体お分かりかと思います。巻戻しノブだけ補足しておくと、板バネの外周部はノブのレバー根元に来るよう組み直します。ずれているとレバーを起こした時にぷらぷらしてしまうので。

 今回はある程度戻したところで多重露光レバーが動かなくなっていることに気づき、再度開ける羽目になりました。参考にしたサイト様でも同様の失敗をされてたのでありがちなミスなんだと思います。トップカバーをかぶせた時点で横に動くか確認しましょう。あと、露出計も早めに正常動作するか確認した方がいいです(=巻上げレバーを先に組み直す)。電池を入れ、ファインダーを時々覗きながら作業すれば露出計が動いてるか判ります。

 ところで今回、ふと端部がフリーになってる配線に気づきました(死)。ペンタプリズムの右側にある黒い線、何処に繋がっていたのかどなたか御存知ないでしょうか…。組み戻しても(恐らく唯一の電子部品である)露出計は動作するしなぁ。まあFMは電池なしでも撮れるので、メカニックに異常がなければいいのです(こら)。

その他のモルトプレーン貼り替え(★★☆☆☆)

 今回の分解は内部のモルトプレーン貼り替えが目的でした。モルトは他にも、ミラーの手前上部、フィルム収納部外周、裏蓋蝶番横にあります。特にミラー手前上部はシャッター作動時に跳ね上がったミラーが当たる緩衝材なので、ボロボロになっている場合は貼替えないと最悪ミラーが割れるおそれがあります。これらは分解せずともアクセスできるので全部さくっと貼り換えてしまいましょう。

 概ね2mm厚で足りますが、フィルム収納部外周だけは厚さ1.5mmくらいが適切らしいです。他の箇所と同じフェルト貼ったら裏蓋がきっちりしまらなくなり、買っておいた1.5mm厚のモルトプレーンでやり直す羽目になりました(毛糸を詰め込むという手もあるらしい)。幅は目視で適当に決めています。フィルム収納部外周が1.5mmで他は3〜3.5mmくらいかな。

Comments

まだコメントはありません。

カレンダー

«   2017-01   »
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    

» Archive List

最新記事

カテゴリ一覧

最新コメント

【Mパターン研究所】S0508 エスカルゴロ..
ジェフリーキャンベルのブーツ修理
今度は蕁麻疹